伝統のモト・グッツィ
イタリア最古のバイクメーカーであるモト・グッツィは過去にはレーサーとして英国車に対抗できる唯一の存在でした。
現在はピアッジオ傘下で、ワンメイクレースかクラシックレースくらいで、レース活動は積極的には行っていません。
国内で正式代理店にて販売されている車種は、クルーザーであるカリフォルニアと、V7シリーズとなっています。
モト・グッツィは、ツアラーとして人気のあるメーカーですが、同じピアッジオ傘下であるアプリリアのように最新技術はつぎ込まれていません。
エンジンは戦後一貫して縦置きV型90度2気筒エンジンを搭載し、シャフトドライブを採用しています。
それ以外はあまりいじらず、乗り味で勝負する古き良きバイクでした。
カリフォルニア
カリフォルニアは1970年登場のロングセラーモデルで、モト・グッツィ最大排気量の1380ccを誇ります。
このカリフォルニアは新型になり、数々の電子制御が装着されることになりました。
電子制御インジェクション、マルチマッピングシステム、トラクションコントロールシステム、ABS、クルーズコントロールなどです。
これらの装備は速く走るための装備ではありません。
クルーザーの本来の目的である、長距離を快適に、そして安全に走るための装備です。
インジェクションは排ガス規制の影響もありますが、なにより最適な燃料をエンジンに供給するため、エンジンが安定します。
マルチマッピングシステムは3段階になっており、走りのステージに合わせ最適なモードを選ぶことができます。
トラコンやABSはトルクがあり重い車体を確実に制御することに役立ち、クルーズコントロールは長距離移動の疲労を和らげてくれます。
V7シリーズ
一方V7シリーズは、カリフォルニアのような装備はついていません。
時代とともに全体の見直しは行われていますが、基本的なスタイルには変化はなく、近代的なものは電子制御インジェクションくらいです。
V7の持ち味は、このクラシックたる味付けです。
フロントサスは正立で、リアはツインショック。フロントブレーキはブレンボですがシングルです。
新型になりパワーは上がっていますが、スポーツタイプと異なりVツインを生かしトルクで走るバイクです。
車体に余計な飾りがありませんので、車重も軽く取り回しは簡単に行え、操作性が軽いのが特徴です。
ですがフロントは18インチですので、バイクが勝手に曲がるのではなく、自分で曲げなくて曲がりません。
V7シリーズは高性能に乗せられるバイクではなく、乗り手が操るバイクなのです。
ただモト・グッツィには構造上、どうしても注意しなくてはいけない点があります。
縦置きVツインですので、発信時にエンジン回転方向に揺られます。
そしてシャフトドライブもまたそれに拍車をかけることになります。
これを欠点と思う人もいますが、マニアにとっては味であり、魅力の1つとなっているのです。