キング・オブ・バイク
アメリカンバイクの代表格で、世界的にも有名なハーレーダビッドソン。
元祖ツアラーであるこのバイクは、他のメーカーが時代に合わせ進化の度合いが急激なのに対し、進化の過程はゆっくりとしか歩んできていません。
しかしV型2気筒というエンジンスタイルは、アメリカンの定石と化し、国産車もこのスタイルを真似するときにはV型2気筒にするほどまでに定着し、またファンが多いのも事実です。
ハーレーの最大の特徴は、車高が低くホイールベースが長いことが挙げられます。
車種により違いはあるものの、平均的に低く、そして長く作られています。
もともとハーレーはアメリカ大陸に合わせて作られたマシンであり、長距離を走るために作られています。
東海岸から西海岸までは、普通に走るとプロのトラッカーで3日掛かります。
これは運転手が交代で乗り続けてであり、バイクはこのようにはいきません。
少しくらいスピードをだしたとしても、日数にあまり差はないということです。
またアメリカの中央部のほとんどは砂漠です。
スピードをだしていて、そのような場所で事故にあっても、誰も助けにはきません。
砂漠のハイウェイのど真ん中で、身動きが取れないときは死が待っています。
そのためハーレーは、スピードを売りにせず、長距離を疲れないように走れるバイクを作り続けてきたのです。
特徴
ハーレーは上記のようなコンセプトがありますので、実は高速走行が得意ではありません。
車高を落とすためにリジットに改造したバイクがありますが、乗り心地が最悪なだけではありません。
リアの動きをスポイルしていますので、リアタイヤが拾った衝撃はフレーム、車体が吸収することになります。
高速になるとその衝撃は車体を大きく揺らすことになり、ブレを抑えられなくなると転倒することになります。
またリアタイヤの扁平率が低いタイヤですとトレッドが衝撃を吸収しませんので、メーカー推奨サイズをお勧めします。
ハーレーは車高が低いバイクが多いので足つきは概ね良好です。
シート幅は広いのですが、停車する際に両足を同時につくことはありません。
自然に片足がつくので、足つきの心配はありません。
ですがXL1200Tスーパーローを除き、ハーレーのほとんどはアジア向けには作られていません。
アジア人にはポジションが広いのです。
そのためただ跨るだけではなく、ステップに足をのせ、ハンドルに両手を置き、ちゃんとしたライディングポジションを取ることをお勧めします。
大柄な男性には楽なポジションであっても、小柄な人にとっては手足が伸びきり、扱い辛いポジションかもしれないのです。
隠れた得意技
上記のようなことを示すと、ハーレーはゆっくりとした長距離移動以外良いところがないバイクのように思えますが、実はそれも違います。
空冷の熱を我慢し、あの巨体の取り回しを苦も無く行えるベテランにとっては、街乗りが非常にしやすいバイクです。
ハーレーのエンジンはロングストロークであり、高回転は回りませんし、排気量のわりに馬力がありません。
ですが低速トルクが図太く、巨体のわりに出足が早いのです。
スクーターのように出足が軽く扱えるので、実は街乗りがとても楽なマシンなのです。